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移住先レポート

韓国から熊本大に留学、「日本で、九州で、熊本で、働きたい」

2022年の春、八代の神園交通トラベルに入社し移住したキム・ハクソクさん

 韓国から熊本大に留学した直後、熊本地震に遭った。復興という目標に向かって活動する同世代の姿を見ているうちに、「日本で、九州で、熊本で、働きたい」という思いが強くなった。佐賀県の観光地にあるホテル勤務を経て観光業への興味も沸き、心機一転、やってきたのが八代。2022年春、神園交通トラベルに入社と同時に移住した。九州三大祭りの一つ、八代妙見祭の最大の出し物「ガメ」に驚き、八代での〝発見〟を日々楽しみつつ、それを「多くの人たちに繋ぎたい」と新たな観光ツアーの企画に知恵を巡らしている。

 ソウル市で生まれ育った。日本文化に触れたのは2006年、中学3年の時。人気俳優のチャン・ドンゴンが日本の人気番組「SMAP×SMAP」内の「ビストロSMAP」に出演した、と聞いて「へぇー」と思い、その動画を見たことだった。それ以来、日本の人気ドラマを見るようになり、はまった。大学受験に際して、日本文化を学べる学科がある大学を探して進学した。

 その大学と姉妹校提携している大学が札幌にあったことから、1年生の冬休みに初めて来日し、約1カ月滞在。勉強だけでなく、ジンギスカン料理を食べたり、北海道内を旅行してドラマの撮影地に行ったり、雪だるまを作ったり……、日本を楽しんだ。その後も何度か来日し、友人がいた東京などにも行った。

 兵役を終えて大学3年生になった2016年春、交換留学で熊本大学に来た。いよいよオリエンテーションが近づき、学生寮で仲間らと話をしていた4月15日夜、大地が揺れた。驚いて机の下にもぐった。近くの高校の体育館に開設された避難所に入った後、知人のツテでさらに福岡市に避難した。

すると、にぎやかな繁華街・天神で、若者らが熊本地震救援の募金活動をしていた。「自分も何かやらなければ」という思いに駆られた。いったん韓国に戻り、SNSで発信。集まった募金を熊本大に寄付した。5月になって大学も再開され、熊本に戻った。学業の傍ら、学園祭の企画に関わった。復興などのテーマで知恵を絞り、団結して取り組む仲間の姿は、とても刺激的だった。

1年間の留学を終えて韓国に戻ると、すでに就職活動の季節に入っていた。日本企業が集まる就職説明会を探して参加。日本にも近い韓国南部の釜山広域市で開催された説明会では、九州の企業が多かった。その中で佐賀県武雄市のビジネスホテルの面接を受けたところ、気持ちが固まった。

2018年春、入社。フロントからベッドメーキングなど何でもこなした。有名な武雄温泉を抱えるだけでなく、近くには陶器の街・有田があり、ビジネスホテルとはいえ、観光客も多かった。また佐賀空港-韓国・仁川国際空港を結ぶ直行便があったので、韓国からも連日のように宿泊客が来た。そうした観光客のための旅行・観光案内も大きな仕事の一つになる中で、次第にある気持ちが募ってきた。「旅行業でもっとディープに仕事をしてみたい」。

釜山市での就職説明会を仕切っていた日本の人材会社に連絡を取り、仲介を依頼した。その際「熊本で働きたい」と付け加えた。そして紹介してもらったのが、八代市の「神園交通トラベル」。新型コロナ禍のため、面接はオンラインの「Zoom」。2022年4月の入社がほぼ決まってから、初めて八代市を訪れた。

住居も決まって3月に移住。人口約5万人の武雄市はコンパクトな街で、疲れたらすぐに温泉にも入ることができ、気に入っていたが、実は一つだけ不満があった。大好物のピザの宅配店がないことだった。八代に転居した日、真っ先にピザのデリバリーを注文した。

神園交通グループのタクシーには、亀と蛇が合体した想像上の動物「ガメ」や笠鉾など八代妙見祭の出し物が描かれている。「これは何だ。何か面白そうだな」。初めて来た土地、初めて見る文化に胸躍った。

入社早々ながら、会社のインスタグラムや公式LINEの管理も任されている。

仕事は、旅行の斡旋やコーディネートなど。入社早々ながら、会社のインスタグラムや公式LINEの管理も任されている。さらにパック旅行の企画作りと、忙しい毎日だ。「自分ももっと八代のことを知りたいし、八代の良いところをどんどん見つけて、お客さんたちにつなげていきたい。ここに住んでいる人たちにも再発見してもらえるよう、頑張ります」。

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